豊穣の海へと漕ぎ出す、クロアチア音楽の伝道師
「今後もクロアチア作品の紹介を柱に据え、ライフワークとします」。安達朋博は今年3月5日、東京のルーテル市ヶ谷ホールで開いたリサイタルの最後に宣言した。前年夏に日本デビュー5周年を祝って半年間、じっくり考えた末の決意表明だ。2013年はクロアチアの女性作曲家ペヤチェヴィチの没後90周年。かねて傾倒してきた安達は例年にも増し、彼女の作品を多く弾いてきた。秋のリサイタルでも長年愛奏してきた組曲「花の一生」の2曲にソナタ第2番と、2つのペヤチェヴィチ作品をヨシポヴィチ現クロアチア大統領の繊細な小品、モダニストのクンツのソナタとともに取り上げる。クンツも今年、生誕110年の節目に当たるという。前半と後半のメインはドイツ・ロマン派のブラームス、生誕140年&没後70年のロシア・ピアノ音楽の巨星ラフマニノフそれぞれのソナタ第2番。学生時代から親しんだ名曲と改めて向き合い、30代の豊穣の海へ、しっかりと漕ぎ出す意思の現れだ。日本の多くのピアニストが楽譜の「縦の線」を合わせるのに汲々とする中、安達は和声の色合いを巧みに描き分けつつ、「横の流れ」を大きく生み出していく。作品への愛を率直に吐露するピアニズムは時に、独自の魔力を放つ。ピアノにかける切実な思いで心底から泣き、聴衆の涙をも誘える演奏家は稀である。池田卓夫=音楽ジャーナリスト
“It is always a particular delight for me to listen to Mr. Tomohiro Adachi’s masterly interpretations of world renown classics. And I am always deeply impressed with Mr. Adachi’s take on several Croatian authors, which are often a part of his repertoire. He surely must be considered as one of the greatest interpreters of classic and modern Croatian composers.
In the year 2013, when Croatia and Japan celebrate the 20th anniversary of establishment of diplomatic relations, I recommend you to treat yourself with some of Mr. Tomohiro Adachi’s brilliant talent. ”
Mira Martinec
Ambassador of Croatia to Japan
安達朋博氏の卓越したクラシック音楽の演奏を聴くたび、心が躍らされます。また、リサイタルにおいてクロアチアの作曲家の作品を取り上げ、彼の大切なレパートリーとして奏でていただいていることも、特に喜ばしく思います。安達氏は、クロアチアのクラシック音楽と現代音楽の作品を、演奏家として後世へ伝える第一人者と言えるでしょう。
2013年は、クロアチアと日本の国交樹立20周年の記念すべき年でもあります。ぜひこの機会に、才能豊かな演奏家・安達朋博氏の素晴らしい演奏を堪能されることを強くおすすめします。
駐日クロアチア共和国大使館
特命全権大使
ミラ・マルティネツ
今年は日本とクロアチアが国交を樹立して20周年になりますが、経済・文化・芸術・観光等の分野で両国の交流がますます進んでいます。
クロアチア留学で研鑽を積み、数々の国際コンクールで入賞されたピアニストの安達朋博さんは日本でも精力的に演奏活動を繰り広げ活躍中です。
クロアチア音楽の第一人者である安達さんのピアノ演奏には、自然豊かな同国で培われた感性に満ち溢れ、誰もが魅了されることでしょう。
日本・クロアチアの記念すべき節目の年に安達さんによる音楽を通じて両国の友好親善が一層深まることを心から祈念申し上げます。
在大阪クロアチア共和国名誉領事館
名誉領事
小島 弘
安達朋博さんはデビュー以来、日本とクロアチアを含めた、ヨーロッパ諸国やアジアでピアノリサイタルを開かれ、世界中のクラシック音楽のステージで喝采を浴びています。テクニックはもとより魂を込めた、彼独特のハーモニーは多くの人達を魅了させます。
クロアチアとは親交が厚く、ロヴランという街の音楽大学を卒業してからも、音楽の交流だけではなく、クロアチア国の魅力を日本中に紹介する役割も努めて下さり、クロアチアの親善大使と言って良い存在です。
いつまでも素晴らしい演奏活動が続けられるよう心から祈っております。
クロアチア政府観光局 日本代表
エドワード・トゥリプコヴィッチ・片山
安達朋博さんと私は、クロアチアと日本の架け橋になろうという共通の活動目的を持つ縁もあり、約6年前に彼が日本で本格的な活動を始めた頃からその活動を応援しています。美しいクロアチアの地でその音楽的感性に磨きをかけた安達さんは、当初より積極的にクロアチアの作品を日本でのリサイタルで披露してきました。安達さんのすばらしい演奏は、日本人のみならずクロアチア人をも魅了しています。
安達さんは音楽の枠を越え、クロアチアと日本との文化交流にも活動の場を積極的に広げています。演奏活動や文化交流を通じ、人間的にも日々成長を続けています。そしてその人間的魅力が安達さんの演奏をより豊かなものにしています。ピアニスト・安達朋博と人間・安達朋博は、今後も進化し続けるでしょう。
クロアチアビジネスセンター
代表
荒川伸次